大学卒業が迫った頃、下宿の大家さんの、やはり大学卒業が決まっていた息子さんが突然交通事故で亡くなりました。
数週間が過ぎ、悲しみが癒えない大家さんにお礼も言えないまま、下宿人の私たちはそれぞれの故郷に帰るしかありませんでした。
今思えば、若さ故の大暴走ですが、一晩かけて作ったこの曲を録音したカセットテープを残して下宿を去るという、とんでもないことをしました。
後日、大家さんから、「前を向いて生きてゆきます」と長い礼状をいただきましたが、無理して下さったのかもしれません。
数年後、友人と下宿に挨拶に伺ったとき、大家さんが仏壇からカセットテープを出して来られて、「お前、こんなことしてたのか」と友人に言われて、みんなで大笑いしました。
父が他界した際も、一人で歌っていた気がします。
不思議なことに、2つの出来事は、ともに2月の終わり、高校の卒業式の日でした。
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