小児の麻酔薬への曝露と神経発達への影響【小児医療】
2019.06.08
小児への全身麻酔を判断する機会があり、記事にまとめてみました。
先にお断りしておきますが、素人のまとめ結果です。
専門的な知識を伴わない、インターネット知識のまとめです。
情報の鮮度や正確性は一切保証がないことを予め記載しておきます。

全身麻酔のリスクですが、アレルギー反応とか目覚めないとかが思い当たるかと思います。
それだけではないんです。
麻酔薬は、脳細胞の自然死(アポトーシス)を誘発させる事が報告されています。

但し、これは医学界でも継続して調査中であり、確証は揃っていません。
実際、2017年に国立の小児専門病院で先生にご意見を伺う機会があったのですが、
「エビデンスがなく確証がない」というのがご回答だったと記憶しています。
そのため、全身麻酔を行う際に、リスクとして説明されてていないと思います。

事実として、生後7日のラットで行った実験では、脳の広範なアポトーシスが認められています。
そして、細胞の死滅の量は、部位によって18倍~68倍に増加したという結果があります。
結果として、成獣になってからの迷路試験の成績低下や異常行動が報告されています。

気になる点として、ヒトではどうか?
前述の通り、ヒトへの影響は結果が出ておらず、グレーです。
ラットの実験を受けて、各機関で研究や論文が発表されており、下記の状況のようです。

◆ヒトへの小児全身麻酔の影響に係る論文等
 ・Anesthesiology 2009;110:796
  1976年~1982年に生まれた5,357人の後ろ向きパースコホート研究
  4歳までに複数回の全身麻酔を受けた593人で、学習障害の頻度が高いこと報告。

 ・Anesthesiology 110:805-812,2009
  初回麻酔時の年齢に着目した神経発達の行動学的評価法による後ろ向き研究
  2歳未満での麻酔曝露群では、2歳以降の麻酔曝露群よりも行動障害がより強いことを報告。

 ・Anesthesiol 21:286-291, 2009
  生後3歳までにソケイヘルニアの手術をうけた小児を対象にして、行動および発達障害の発生について検討
  ヘルニア手術を行った小児で行動および発達障害の頻度が高かった(4.4% vs 1.2%)

 ・Twin Res Hum Genet 12:246-253, 2009
  オランダの一卵性双生児1,143組の片方が3歳以前に麻酔を受けた場合の学力と認知機能を研究
  片方が手術を受け、もう片方は手術を受けなかった一覧双生児間の比較では、
  学力や認知障害に差がないことを報告。

 ・Anesthesiology 114:1076-1085, 2011
  1歳までのソケイヘルニア手術(2,547例)における15歳児の試験成績
  背景をマッチさせた非手術群と同等であったことを報告。

 ・Lancet 2016; 387: 239
  2歳までのソケイヘルニア手術(セボフルラン)対象の2歳児での神経発達を調べた研究
  非手術群との有意差は認められなかったことを報告。

 ・Anesthesiology 117:491-503,2012
  1歳までに全身麻酔を受けた対象(287人)の7~10歳時点でのアイオワ州学力テスト比較
  下位5パーセンタイルに入る比率が高かったことを報告。
  サブグループ(58人)解析で、麻酔・手術時間が長いほど学力スコアが低いことを報告。

 ・Pdiatric Anesthesia and Neuro-Develipment Assessment(PANDA)study
  2000年ー2006年の鼠径ヘルニア修復術の28人を6~7年追跡調査
  手術・麻酔群とその兄弟で学習に差が認められていないことを報告。
  単回・短時間の手術・麻酔は長期的な影響を及ぼさない可能性が示唆されることを報告

  ヘルニア施術、3歳未満での単回全身麻酔。暴露群は平均84分。17人が2時間超え
  8-15歳時点での認知機能スコア差はなかったことを報告。
  麻酔薬への3時間未満の曝露では、リスク上昇は予測されないとの動物データと一貫性がある。

 ・米FDA 全身麻酔薬および鎮静薬:乳幼児および妊婦での使用に関する新たな警告
  【要約】FDAは,3歳未満の乳幼児,および妊娠第3三半期の妊婦での外科手術や処置において,
  全身麻酔薬や鎮静薬の複数回または長時間の使用により,小児の脳の発達に影響する可能性があることを警告する。
  最近のヒトでの試験では,動物実験の場合と同様,乳幼児での全身麻酔薬および鎮静薬の比較的短時間の単回使用は、行動や学習に悪影響を及ぼす可能性が低いことが示唆されている。

◆所感
 結局のところ、調査対象の育成環境や人種、地域などの背景マッチが難しく、厳密なエビデンスが得られていない状況であるといえます。
 しかし、2003年の衝撃的な動物実験結果を受け、研究が進んだ結果として、「単回・短時間の麻酔」は影響が少ないという説が有力なのではないかと考えられますね。特に、米FDAの警告は、2017年に入ってからの声明である為、それなりに根拠となる情報を踏まえてのことだと思います。
 どこかで読んだのですが、ラットの生後7日というのは、人間でいうと胎児の状態と同程度との意見もあり、「生後7日」をラットとヒトで同一とおく基準も怪しいものがあるのかなと思います。
 ただ、単回でない長時間の麻酔薬というのは、悪影響も少なからずある可能性は高い、というのが現状からは見て取れるのではないかな、と思います。
 ただ、どうしても全身麻酔が必要になる場合はありますし、急ぐ場合もあります。その場合は、麻酔薬の影響がどうのとか言ってられないのも事実だと思います。

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