アマチュア無線(ハム)とは?

アマチュア無線(ハム)とは
 所謂プロとは違って金銭を目的とせず、もっぱら個人の技術の向上等を目的とした趣味の無線実験です。
もちろん公共の電波を使用していますので運用するには公式な資格が必要となります。
資格には一級・二級・三級・四級の4種類が有りますが、初級と呼ばれる第四級アマチュア無線技士の資格は小学生でも合格可能な水準です。
それでもアンテナ等をきちんと整備すればDX(遠距離:外国の意)とQSO(交信)する事も充分に可能なのです。



どうして趣味の為に大事な電波が使えるの?
 電波の性質がだんだんと明らかになってきて遠距離との通信に利用し始めた頃、個人の実験家達も無線通信を楽しむようになってきました。
すると各国政府は公的な通信を混信等で妨害されないように中・長波(現在の放送帯等)での実験を禁止し、当時は遠距離には届かない(つまり役に立たない)と考えられていた短波帯に追いやられたのです。
ところが世界中のアマチュア無線家の努力によって、役に立たないどころか短波帯こそが長距離通信(地球の裏側まで!)に適し、しかもそれが低電力で通信できる事が判明したのです。
これらの先人達の功績によって国際機関で「アマチュア無線の為の周波数」が与えられる事となり、現在我々が楽しめる事となったのです。



アマチュア無線で何が出来るの?

まず第一に「電波が発射できます!」
 アタリマエダロ!!!って怒らないで下さい。
実は当たり前ではないのです。
どのような物でも電波を発射(無線通信)するには必ず免許が必要なのです。
じゃあワイヤレスマイクやラジコンの電波は?と言う声が聞こえそうですが、これは法の定めにより、決められた周波数でしかも一定の電力以下の微弱な物(つまり一寸離れると聞こえなくなって他に混信を与えない)のみに限って特別に許されているのです。
またプロの通信とは違って、運用周波数や通信相手が定められたり運用時間等の制限が無い(但し相手方もアマチュア無線局の事)のでアマチュア無線に許された周波数帯の中であれば、いつでも誰とでも自由に通信が楽しめるのです。

第二に「通信設備を自作できます。」
 これは実に楽しい物で、私の大きな楽しみの一つです。。
と言っても最近では通信機を自作する人は殆どいなくなり一寸さみしい感じです。
しかも現在のメーカー製通信機はコンピューターを内蔵するなどハイテク化が進んでいるので、まともには立ち向かえません。
そこで私の場合、メーカー品には無いQRP(ミニパワーの事で概ね送信出力が5W位以下のものをさす)の機械などを作る事が殆どです。
電球だったら足元も明るくなりそうも無い様なこんな微弱電力で、はたして通信が出来るのかと思うでしょうが、アンテナさえきちんとすれば、決して楽に出来るとは言いませんが電波の出力が1Wクラスであってもアメリカや欧州等との交信も可能なのです。
通常の電力の場合、アマチュア無線の初級クラス(第四級アマチュア無線技士)であっても短波帯で許される最大出力は10Wですからかなりのパワーと言え、当然海外との交信も充分に可能です。
またアンテナも自作して楽しめるのです。
どんなに優れた通信機を使用しても電波の出入り口であるアンテナが無かったり性能が劣悪だったら何にもなりません。
そこで、色々なアンテナを作って試してみるのです。
昔はアンテナは殆ど自作だったのですが、現在はメーカー製のアンテナも数多く出てきました。
しかしメーカー品と言えども微調整(調整しないアンテナは性能が格段に落ちる)が必要になるので、アンテナに関しては未だに自作の要素が濃く残っていると言えましょう。

第三に「世界中と話しが出来ます。」
 1にも言いましたが、アマチュア無線局であれば誰と交信してもいいのです。
したがって、世界の仲間と話しが出来るのです。
また外国に限らず国内同士でも交信をするとQSLカード(交信証)と呼ぶ絵葉書様のカードを交換し合います。
これの図柄が千差万別で、これらの収集も楽しみなのです。
また私の場合などは、世界の100ヶ国(厳密にはその他地域も含む)以上と交信しそのQSLカードを入手すると入会させてくれるという特別なクラブ制度が有るので、海外局(DXと呼びます)を鵜の目鷹の目で探しては交信をするのです。

最後に「公共の役に立つ事が出来ます。」
 交信の相手もアマチュア無線局に限ると前述しましたが、非常時の際行政等から求められればアマチュア無線業務ではない「非常通信」をする事が出来ます。
あの阪神淡路大地震の際にもアマチュア無線家が活躍し、最近では台湾大地震の際には台湾のアマチュア無線家の非常通信が大きな役割を果たしているのです。
そして、あの東日本大震災の時にもアマチュア無線が非常に有効な事が実証されたのです。
携帯等の通信が途絶する中で、アマチュア無線の果たした役割は決して小さなものでは無かったのでした。

我々自身はまずこれを体験する機会はないでしょうが、大事な公共の電波を使用させてもらっているからには「いったん事が有った時には協力する」という覚悟と、「それが出来るのだ」と言う誇りを常に持っていたいものです。


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